@article{oai:tamagawa.repo.nii.ac.jp:00000203, author = {喜治, 都}, issue = {19}, journal = {論叢:玉川大学経営学部紀要}, month = {Mar}, note = {経済学の教えによると,自由な経済活動と自由な競争は,人々の利益の追求というインセンティブを原動力として,希少な資源を効率的に配分しながら経済の発展・成長を促すものである。20世紀の最後の10年間で,それまでの冷戦によって分断されていた世界経済は一気にグローバル経済として語られるようになり,グローバル経済の成長のためには,自由な経済活動と自由な競争がますます奨励されてきた。物質的には確かに生産量は増大し世界経済の成長が見られるが,資源・食糧問題や環境問題,それに貧困や格差といった影の部分に目を向けると,世界は経済学が理想とする経済状態へと向かっているのかどうかさえも判断できないほど,将来は不確実さを増してきている。実は250年も前に,この世が不確実なものであることを認識し,また人間の愚かさや不誠実さによって思わぬ事態が生じることも承知したうえで,経済のしくみを解明しようとしたのが,アダム・スミスなのである。本稿では,経済学でいう一般法則や教義がこれまで我々に与えてきたさまざまな影響について,スミスの時代に普及していった「自然」概念に遡って考察する。まず1節では,18世紀に誕生したポリティカル・エコノミーが自然思想の影響を受けて形成されていくプロセスと,そこで生まれた「自然」概念,つまり理想的経済状態としての自然状態につい見ていく。2節では,経済用語としてのスミスの自然価格および自然率の理論を始まりとして,現代経済学で受け継がれている「自然」概念として,ヴィクセルの自然利子率およびフリードマンの自然失業率を,スミスとの比較において見ていく。3節では,ポリティカル・エコノミーから現代経済学に至るまで,経済学の教義とされている「見えざる手」や自由競争,および自由放任などが,今日のグローバル経済においてどのように解釈されているかを検討する。最後に,理論と現実から実際の経済問題をどう認識していけばよいか,すなわち,経済システムはいわゆる理想的な自然状態へ向かっているのか,そもそも理想的な自然状態とはいかなるもので,果たしてそれが人間にとって「善き」状態なのか,といった問題を指摘し,スミスの時代がそうであったように,今一度ポリティカル・エコノミーの役割や哲学の助けが経済学において期待されていることを述べて終わりとする。}, pages = {31--50}, title = {経済学における「自然」概念の再解釈―ポリティカル・エコノミーから現代経済学へ―}, volume = {2012}, year = {2013} }