@article{oai:tamagawa.repo.nii.ac.jp:00000027, author = {太田, 明}, issue = {56}, journal = {論叢:玉川大学文学部紀要}, month = {Mar}, note = {この研究の目的は,20世紀前半にドイツのゲッチンゲン大学を拠点に活動した哲学者レオナルド・ネルゾン(Leonard Nelson, 1882―1927)の著名な講演「ソクラテス的方法」(1922)の内容を紹介し,その新機軸を明らかにすることである。  第一節では,予備的考察として,ネルゾンの教育思想の政治との関わりを概観する。ネルゾンは自らのソクラテス的方法を「哲学ではなく,哲学することを教える技法」という意味での哲学教育の方法と規定し,それをゲッチンゲン大学での哲学の演習や,自らの政治団体の教養講座で実践し,また自らが経営するヴァルケミューレ田園教育舎での教育方法とした。それは当時の教育への批判とともに,政治改革の基礎として,指導者の育成を目指すという政治的目的と結びついていた。  第二節では,講演内容をネルゾンの言葉に即して検討し,解説を加える。  第三節では,「ソクラテス的方法」を構造的特徴・問いの形式・抽象の遡及的方法の三点で検討し直し,それによって,「ネルゾンの言う「教育のパラドックス」―外的影響を受けない人間が外的影響によって形成されるか」―が「ソクラテス的方法」によってどのように解決されるのかを明らかにする。  ネルゾンは「ソクラテス的方法」の概念を,対話によって対話相手が自ら認識を獲得することを助ける哲学教育の技法―産婆術的側面―と,哲学実践の技法―認識論的側面―という二通りの意味で用いている。前者においては,一対一の対話ではなく,テーマに介入しない教師の指導のもとで複数の同等の参加者による会話とすること,後者においてはソクラテス―プラトンの想起説を,カント―フリースの批判哲学的な「抽象の遡及的方法」として捉え直す。これがネルゾンの新機軸であり,これによって「教育のパラドックス」の解決を導くとされるのである。  最後に,ネルゾンのソクラテス的方法の成否を,対話への参加者の回想をもとに考察する。}, pages = {71--103}, title = {レオナルド・ネルゾンと〈理性の自己信頼〉(2)}, year = {2016} }